2021/05/26
浄土院副住職信宏和尚の法話 「誰でもできるお念仏」
気がつけば花粉飛散の時期が過ぎ、山々の緑がはっきりと見えるようになってきました。例年より約一ヶ月早く梅雨に入ったことも時の流れを速く感じる要因になっています。
先のことだと思っていた高齢者対象のコロナウィルスワクチン接種もだんだんと具体的になってきました。地元行政からの広報誌などによく目を通して備えていただきたいと思います。
ワクチン接種の予約の方法について全国各地でいろいろな方法があることがニュースで伝えられていました。その中に「予約はインターネットかLINE(ライン)のみで受け付けます。」というものがありました。すると、「インターネットを使えない人のことを何も考えていないのか」、「私は予約をあきらめました」などと数々の不満の声が上がりました。
インターネットに日頃から慣れている人はいいですが、残りの人は切り捨てられてしまいます。また、インターネットが使える人々の中でも予約が先着順だと競争になっていました。「コロナウィルスに感染し重症化すると命に関わる」と我が事として自覚し、我先にと一斉に動いてしまったからです。
どうしても人生に苦しみはつきものです。ワクチン接種が終わってもまた別の苦しみに追われてしまうでしょう。常に苦しみから離れられない私たちですが、そんな私たちを一人も切り捨てず、一人も漏らさず救いとりたいと願っておられる阿弥陀如来様におすがりさせていただくと、心に余裕や安らぎが生まれます。
苦しみがついて回る今の自分自身を見つめて阿弥陀如来様におすがりすることを法然上人は次のようにお示しです。
「深く信ずる心と申し候は、『南無阿弥陀佛と申せばその仏の誓いにて、いかなる身をも嫌わず、一定(いちじょう)迎え給うぞ』と深く頼みて、いかなる咎(とが)をも顧みず疑う心の少しも無きを申し候なり。」
深く信じる心というのは、南無阿弥陀佛とお称えすれば阿弥陀佛の誓いによって、どのような身であっても分け隔てなく確実にお迎えくださるのだと深く頼みとして、どのような我が身の罪も顧みず、疑う心が少しも無いことを言うのでありますという意味です。
命が尽きるという一大事は皆に必ずやってきます。阿弥陀如来様のお迎えをいただいて極楽浄土へ往生させて頂けると信じて、お念仏を申し一生涯にわたって阿弥陀如来様との御縁を結び続けていただきたいと思います。
お念仏申すのにインターネットは必要ありません。阿弥陀如来様のお慈悲の御心はお念仏申す方々に一人も漏れなく寄り添ってくださいますよ。
(あみだぶと 呼べば応えて 御佛は 枕の上に あらわれにけり) 合掌